人文系の大学院留学

…を目指して断念した人のつぶやき。

オススメdictationのやり方

英語のリスニング力UPの方法としてよく挙げられるのが、dictationです。聞き取った音声を一言一句書き取るという練習法です。これによって、日本人がよく苦労する子音と母音のつながりや音の欠落に耳を慣らすことが期待できます。ただし、そのやり方は人それぞれで、個々人の目標によっても異なります。この記事では、dictationを通して本質的なリスニング力を向上したい人向けに、私がかつてやっていたdictationの方法をシェアします。初めに言っておきますが、dictationはリスニング力や語彙力が皆無で「何言ってるのかさっぱりわからん」状態の人には向いていません。なんとなくわかっているけど、(TOEFLで問われるような)大事なところが聞けていない、という人にオススメです。*1「かつてやっていた」というのは当然「今はやっていない」ことを含意するのですが、なぜ今はやっていないのか、dictationの「やめどき」についても触れます。

 

 

PCでやる

dictationを手書きでやるか、PCのWordなどを使ってやるかは好みが分かれるところです。TOEFLの受験を考えている人は、英文タイピングに指を慣らすのもかねてPCでやることを強く推奨します。*2よほどタイピングが遅くない限り手書きよりPCの方が圧倒的に速く文字を書けます。

役に立つソフトウェアのインストール

dictationをWordでやるという時に一番困るのは、動画の一時停止/再生のためにいちいち手の位置を移動させなければならないことです。YouTubeの一時停止であれば "K" かスペースキーを押せばできますが、それはYouTubeのタブ(ウィンドウ)がアクティブな時だけ有効です。WordとYouTubeを同時に表示していてWordの操作をしていると、ふつうにWordに文字やスペースが入ってしまいます。また、一時停止に失敗すると単語の途中で切れてしまったりします。

そんなわずらわしさを解決してくれるのが、okoshiyasu2というソフトです。インタビュー音声や会議の音声などを文字起こしする人のために開発された、無料ソフトです。こちらからインストールできます。10年近く前から更新が止まっているようですが、問題なく使えます。このソフトでは、キーボードを自由にカスタマイズして一時停止/再生をキー操作のみで行えます。使い始める前にYouTubeやTed Talkの音声をMP3ファイルに変換しておく必要があるので、そこだけ注意が必要です。*3これのすごいところが、一時停止してもう一度再生する時に自動で何秒か巻き戻してくれることです。この巻き戻し秒数は自分で設定できます。英語であれば3秒くらいがちょうどよいです。dictationをしていると(日本語でも)最後の方は記憶があいまいになってくるので、そのあいまいになった部分から再生してくれるのです。

 

〔2020.10.24追記〕YouTubePodcastで安全に dictation する方法を発見しました!

studyabroad.hateblo.jp

 

興味のある題材を選ぶ

YouTubeやTed Talkでもなんでもよいのですが、興味のある題材を選びましょう。そうでないとつまらないし、長続きしません。私はよく "language" や "linguistics" などで検索して面白そうかつ短いものを選んでやっていました。10分の音声をdictationすると、日本語だと40分くらい、英語だと60分くらいかかります。また、スクリプトも復習に必須です。とはいえ、最近は音声認識技術が飛躍的に向上しているので、YouTubeの自動字幕でもある程度対応できますが…。

最初に通しで聞いてからdictation

題材を決めたらすぐにdictationを始めるのではなく、まずは通しでザっと聞いてみましょう。この時、話のトピックだけでなく、話者の発音やアクセントの傾向、しゃべり方の癖をつかみます。たとえば、Ted Talkでは非英語母語話者が多くスピーチしていますので、rの音が巻き舌になりやすい*4とか、shの音にrが入ったような発音がある*5、などの特徴をつかむことが重要になります。それから、しゃべり方ひとつとっても、聴衆に質問を投げかけるタイプの話者なのか、一人で延々としゃべり続けるタイプなのかも重要です。対話っぽさを意識した講演の場合は、"you know" が頻繁に登場しています。一度でここまでの情報を集めきれなくても、たとえばテンションが上がると早口になる、ということをわかっておくだけでもだいぶ違います。

聞き取れなかった箇所にこだわりすぎない

Wordでやっていた私の場合、聞き取れなかった場所は1回目で ??? と入力して2回目でもう一度挑戦します。それでも聞き取れなかった場合はスルーします。聞き取れないものは聞き取れないのだから、たくさんやっても疲れるだけでした。一通りdictationを終えたらスクリプトを見て間違っていたところや ??? の部分を赤字で入力して復習します。最後にもう一度通しで聞いて、どんなところが聞き取れていなかったのか、その原因は何かを分析します。実はこのプロセスが重要で、聞き取れなかった原因がその語彙を知らなかったことにあるならばリスニング力というより語彙力の問題になりますし、自分の知っている単語なのに聞き取りができていなかった場合はリスニング力が不十分ということになります。前者の場合は、dictationは一度やめて語彙力を鍛えてからもう一度戻ってくる方が効果的なこともあります。

dictationのやめどき

dictationを真面目にやっていればそれなりの効果は期待できます。ただし、ものすごい労力と時間を使う作業であり、作業ゲーになってしまう懸念があります。dictationをやったこと自体に満足してしまうようでは、リスニング力の向上は見込めません。もしそのような状態になっているという自覚があるなら、これ以上dictationをやるのはやめた方がよいかもしれません。

また、ある程度リスニング力がついてきて、聞き取れていない箇所が意味の理解にさして影響を与えない機能語(a, an, theなど)、聞き間違えたところで致命的な影響を与えない語(inをatと聞き間違えた、など)の場合、dictationは卒業する時期に来ていると思います。一言一句正確に聞き取れなくても相手の言っていることを理解するのは十分に可能ですし、それは母語であろうと学習言語であろうと同じです。dictationを極めようとするとハマってしまうので気を付けてください。

*1:この記事で共有するdictation法は、英語に限らず他の言語学習でも使えるものだと思っています。私は以前フランス語のdictationに挑戦しましたが、語彙力がなさすぎて諦めました。

*2:もっというと、アメリカのキーボードで!

*3:MP3ファイル形式で最初からダウンロードできるという点では、YouTubeよりもTed Talkの方がおすすめです。YouTubeをMP3に変換するためには、何やら怪しげなサイトを使わないといけないことがあります。

*4:インド人やスペイン語・イタリア語母語話者の英語にありがち

*5:中国人に多い