大学院留学断念記

人文系のアメリカ大学院留学を諦めました。

【自己満足】YOASOBI "Into the Night" 文法解説

こんにちは。

2021年6月2日、私の大好きなYOASOBIの「夜に駆ける」英語版、 “Into the Night” がリリースされました。英語詞の意味はYOASOBI公式Twitterや他ブログでもまとめられているので、今回の記事ではその歌詞の1番で使われている文法について解説します。

はじめにことわっておくと、もともと日本語の歌を無理やり英語に翻訳し、さらに空耳アワーも意図して作られているので、英文法の誤りや不自然なところがかなり出てきます。ただ、私はそれらがこの歌の価値を下げるとは全く思っていませんし、ましてや作詞者を批判するつもりもありません。「こんな文法が使われているんだ」、「こんな表現があるんだ」と知ってもらうことが本記事の目的であり、作詞者やYOASOBIを貶める意図はないことを重ねて記しておきます。

 

ここから具体的な歌詞の文法解説に入りますが、公式が発表している英語詞はメロディーの切れ目に合わせて改行しており、文(やそれっぽいもの)の塊としてはやや捉えにくい形になっていたので、本記事では文単位にしてピリオドを打ちました。

 

Seize a move. You’re on me, falling. And we were dissolving.

真ん中のコンマ以下は分詞構文で、「落ちながら」のように同時並行で進む動作を表しています。ちょっと気になるのは、前半2文が現在形なのに対して、最後の一文が過去進行形になっているところです。

 

You and me, skies above and wide it brings on the true night on me.

この一文は正直訳せません。文の主語がitであることはわかるのですがそれが何をさしているのか、また、You and me ~ wideまでが何なのかが不明です。直前のdissolvingの目的語のようには見えません。

 

All I could feel was a “goodbye.”

大学受験レベルの英語でも出てくる、all (that) S’ V’ ~ is/was … =「S’が~V’できるのは…だけだ/だった」ですね。関係代名詞thatは省略されることが多いです。また、主語のallを単数のwasで受けていることも要注意です。

 

Those only words you wrote, it’s plenty to understand ya.

ツッコミどころ多数。最初のThose ~ wroteまではwordsを先行詞としてyou wroteが修飾しています。「君が書いたそれだけの言葉」。ここまではいいのですが、次のitがこれまた何をさしているのかが不明です。形式主語のitと見なすと、「君を理解すること=たくさん」となり不明。ではさっきのwordsのところを受けた代名詞?いや、これはない。複数形なので単数のitで受けることはできません。ちなみに最後のyaはyouのくだけたバージョンです。

 

The sun is going down.

何の変哲もない現在進行形。

 

The sky behind and visions of you would stand, overlapping with you and the fence beyond.

これも分詞構文です。分詞構文において分詞の主語は主節の主語に一致するので、overlapしているのはthe sky behind and visions of youです。これらがyou and the fence beyondと重なっているわけです。しかし「後ろの空と君の姿」が「君と後ろのフェンス」と重なるのは「君」が「君」と重なっているようで、やや不自然に感じられます。

 

Remember the night that we met up.

正しそうに見えておかしい英文です。真ん中のthatは目的格の関係代名詞でthe nightを修飾していると考えたくなる気持ちはよくわかるのですが、that以降でwe met upと文が完結してしまっているのがポイントです。関係代名詞を使うなら、I’m washing the car that my father bought ___ last week. のように関係代名詞節の中で目的語にあたるところが欠落していなければなりません。この場合、we met up「僕らが出会った」で目的語はもともと不要ですから、関係代名詞ではなく関係副詞のwhenを代わりに使う必要があります。

 

Broke into me and taken everything left in my heart.

おそらく文頭に主語youが省略されているのでしょう。それはともかく、「君が僕の心に押し入ってきて、僕の心の中のすべてを奪った」と言いたければ、過去分詞のtakenではなく過去形のtookを使うべきです。後続するeverything left in my heartは、leftがleave「を置いていく」の過去分詞でeverythingを修飾しています。

 

So fragile is that air, it always keeps on revolving near and wide.

意味がよくわからない。一番ありえそうな解釈は、前半が倒置されていて本当はThat air is so fragileで、そのあとのitはthat airを受けているというもの。仮にそうだとしても、revolving near and wideがどういう意味なのか。

 

Loneliness envelops deep in your eyes.

動詞envelopは他動詞なので、目的語が必要です。孤独は君の目の奥深くに「何を」隠したのでしょうか?

 

It’s stuck in tick-and-tucking mode, never refraining shamble block of sound.

最初のitは何を受けているのかがわからないのと、shambleが何を言いたいのかが不明。実はshambleという語は私もこの歌詞で初めて知った単語なのですが、自動詞で「よろよろ歩く」、名詞で「よろよろ歩き」という意味だそうです。動詞でも名詞でもこの位置に置くことは難しい。

 

Too many terrible noises around and the voice ringing in me gets louder, with tears about to fall.

主語は長いですがToo many ~ in me です。これが複数なので、動詞はgetにしなければなりません。Get+形容詞で「~になる」です。コンマ以下のwithはいわゆる「付帯状況のwith」で、「~の状態で」を表します。「涙がabout to fallな状態で」ということ。be about to do ~ =~しそうだ。

 

I need to find me an average happy tiptoe, locating never tough when I’m with you.

応用レベルの知識ですが、findは二重目的語をとって「AにBを見つける」を意味することがあります。この場合「私にan average happy tiptoeを見つけなくちゃ」となりますが、happy tiptoeがよくわかりません。後半のlocating以降はまたしても分詞構文になりますが、locateは他動詞であり「何を」の部分にnever toughのような形容詞は来れません。全体として意味のわからない文になっています。

 

Saw what got seen hid beneath and louder nights keep beating.

前半は明らかに日本語の歌詞「騒がしい日々に」を意識して作られているのでスルー。後半は普通の英文です。Keep -ingで「~し続ける」。

 

I’m going to you and giving brighter shiny tomorrows.

近未来のbe going to ではなくて、普通に現在進行形でした。

 

What can “night” for you mean? Infinite? You could run with me.

何の変哲もない疑問文。

 

Place your hand in mine. You gotta stay. Hold up.

一文目のmineは言うまでもなく、my handのこと。命令文が続いていますね。

 

Want to leave it behind dark cruel days in deep you may have hid before.

文頭に主語のIかWeが省略されているのでしょう。前半のleave A behindで「Aを置いていく」はいいのですが、このitは何でしょう?日本語の歌詞から考えるとdark cruel daysっぽいですが、最初に代名詞で言ってあとから付け加えるなら単複を一致させる必要があります。後半のyou may have hid beforeはdark cruel daysを先行詞とする関係代名詞節です。動詞hideの過去分詞はhidとhiddenの2通りあります。

 

I’m embracing you until more heat dissolve what is caught up.

Until以降でmore heatは単数なので、dissolvesにすべきです。Dissolve の目的語がwhat is caught upとなっていて、関係代名詞whatが使われています。冒頭のwe were dissolvingで使われていたdissolveは自動詞「溶ける」でしたが、今回のdissolveは他動詞「を溶かす」ですね。

 

You’re no more too afraid.

ちょっと自信がないのですが、オリジナル歌詞のように「もう怖くないよ」的なニュアンスにしたいなら、no moreではなくno longerの方が近いかな?と思います。

 

Sun will soon rise up into a day.

普通に「太陽が昇る」というなら、upは不要でriseのみで十分です。辞書によると、rise upは「(暴動が)蜂起する」という意味合いで使われるそうです。あと、最後のinto a dayもちょっと怪しげな英語です。もしこのようなフレーズがあるとしたらinto the dayかなぁと思います。

 

Keep all of me in you.

最後は命令文で締めます。

 

完全な自己満足に始まり、自己満足に終わる記事でしたが、いかがでしたでしょうか。次は時間がある時に、「三原色」の英語版 "RGB" の文法も解説したいと思います!