人文系の大学院留学

…を目指して断念した人のつぶやき。

英語の発音を良くしたい人へ、フォニックスのすすめ①

最近Twitterで「発音が悪いのを馬鹿にするのは良くない」的なツイート(適当)がバズっているのを見たのですが、これについては半分賛成、半分反対というのが私の正直な意見です。賛成するのは、発音であれ文法であれ人を馬鹿にするのは良くないということ。一方で、「発音が悪くても相手に伝わればなんだっていい」というのにはちょっと納得できないです。たしかに伝わるのかもしれませんが、日本人の私たちがネイティブの日本語と英語っぽい日本語を聞いた時、聞くのに疲れるのは後者の方じゃないですか。それと同じで、発音が悪い英語を聞かせることで相手に負担を与えているんじゃないかという気がするのです。それで「こいつと話すと疲れる」なんていうネガティブなイメージを持たれたら私は嫌です。だから、英語の発音は人一倍頑張ってトレーニングしてきました。この記事では、私がやっていた発音トレーニングの方法として、「フォニックス」を紹介します。

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【目次】

 

フォニックスとは?

フェニックスじゃなくて、フォニックス(phonix)です。言語の最小単位のことを「音素」というのですが、それを英語でいうと"phoneme"で、それを使った造語です。英語教授法の中で特に発音を矯正するのに使います。フォニックスを一言で説明するならば、「音の足し算」です。フォニックスには大きく分けて2段階のフェーズがあり、慣れるまでは結構大変ですが、言語学の知見からは非常に理にかなった教授法だと思います。さっそく説明していきます。

IPA発音記号を覚える

発音記号の存在自体は知っている人が多いと思いますが、それを真面目に読んだことがある人はあまりいないんじゃないかと思います。新しい単語の発音がわからなかったら、今は便利な時代だからGoogleに発音させたり、電子辞書に入っている音声を聞いたりするはずです。発音記号は辞書でいうと単語のすぐ横に[ ]で囲まれて書いてあるもので、どのように発音するかを指示してくれます。aとeがくっついたようなやつとか、数学のインテグラルみたいな記号はインパクトが強くて知っている人も多いかもしれませんが、当然それだけではありません。英語に出てくる発音記号をまとめた表が以下のとおりになります。

子音

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数えてみると、英語の子音は全部で23あります。この数字は、世界の言語の中では多くもなければ少なくもない*1、ちょうど中間くらいです。ちなみに日本語の子音は13種類で、これはかなり少ない方。その中で英語と日本語で同じ子音も共有していますから、英語の子音を全部覚えるのはさほど苦じゃないはずです。

列の一番左にあるのが「発声の仕方」、行の一番上にあるのが「発音する時の舌の位置」です。これらが交差する場所を見れば、どの発音記号を口のどこでどのように発音するかがわかります。また、一つの枠の中に発音記号が2つ並んでいることがありますが、これは左側にあるのが無声音、右側にあるのが有声音という意味です。読んで字のごとく「声があるかないか」なのですが、厳密には声帯がふるえているかどうかの違いです。のどぼとけのあるあたりに手を当てると、ふるえの有無を感じ取ることができます。

日本語に訳されているIPA表が見つからなかったので、言語学の用語に訳しておきます。専門用語とはいっても、漢字を見ればなんとなく意味の想像がつくと思います。

 

【列(発音方法)】

  • stop = 閉鎖音:口のどこかで呼気の流れを止めて一気に出す
  • nasal = 鼻音:鼻から呼気を出す
  • flap = はじき音:口のどこかを舌でパチンとたたく
  • fricative = 摩擦音:呼気の流れを口のどこかで一旦狭めると漏れ出てくる
  • approximant = 接近音:摩擦音より少し呼気の流れを良くした時に出る
  • lateral (approximant) = 側音:舌の両サイドから呼気を出す

【行(舌の位置)】

  • bilabial = 両唇音
  • labio-dental = 唇歯音(しんしおん)
  • dental = 歯音(しおん)
  • alveolar = 歯茎音(しけいおん
  • post-alveolar = 後部歯茎音
  • palatal = 口蓋音(こうがいおん):舌で上の歯から後ろになぞっていった時に触れる硬いところを口蓋といいます。
  • velar = 軟口蓋音:口蓋を通り過ぎてさらに奥までいったところにあるニュルっとしたところを軟口蓋といいます。いわゆる「のどちんこ」。
  • glottal = 声門音:軟口蓋の更に奥、舌では触れないところにある

これらに有声/無声を組み合わせて、たとえば一番左上の音素/p/は「無声両唇閉鎖音」と表します。つまり、/p/は「声帯をふるわせずに(無声)、両唇を接触させ(両唇音)、その接触によってできた閉鎖空間を一気に開放する(閉鎖音)時に出る音」ということです。

子音の発音記号を覚える時に注意してほしいのは、母音をつけて発音しないことです。/p/は「プ」ではありません。「プ」は/p/と母音のウ(発音記号打てない…)が合わさった音なので違います。母音を入れて発音したらそれは有声音になってしまいますね。それから、発音のしくみを字面で理解する前に本物の音声を聞くのもあまりおすすめできません。なぜなら発音のしくみを知らずに音を聞くと、耳で聞いたものをまねることはできますが厳密には正しい発音にはなっていないことが多いからです。「発音を良くするために英語の音声を聞きまくれ!」というのは、言語学の知見からは非常に怪しい教え方だと思います。音声を聞いたら「それっぽい音」にはなりますが、正しい発音にはたどりつけないことが多いです。

口の中の様子を図式化したものや舌の動きを表したものは調べればたくさん出てきます。こんな感じで23の発音記号をしくみとともに徹底的に覚えます!子音がクリアできれば母音はそんなに難しくないのでだいぶ楽になります。母音とフォニックスの中身については次回の記事で取り上げます。

*1:子音が多い言語だと60くらいあるものも!!!