人文系の大学院留学

…を目指して断念した人のつぶやき。

英文校正サービスScribbrのレビュー

前回の記事で、英文校正サービスを使うことについてまとめました。

 

studyabroad.hateblo.jp

 

本記事ではその続編として、実際に使ったScribbrという会社のサービスのレビューをします。

 

 

校正依頼をする前に

依頼する論文はWord形式でアップロードします。Macユーザーなど、Wordを使っていない場合はファイル形式を変換しておきます。また、章ごとにファイルを分けて作っている場合は一つのファイルに統合しておく必要があります。今改めてアップロードページを触ってみましたが、一度に複数のファイルをアップロードすることはできないようです。Wordファイルの統合方法については、こちらのページがわかりやすかったです。

Wordファイルの統合やファイル形式の変換をする必要がない人でも、校正用に改めて別のファイルを作ることを強く推奨します。なぜなら、目次や参考文献リストで語数を食ってしまい値段が跳ね上がるからです。目次のページに書かれている章や節のタイトルは当然本文中にも書かれているので、もしそれらのタイトルに自信がなくても目次まで校正してもらう必要はありません。また、参考文献リストに至っては校正しようがないです。中には体裁が正しいかを見てくれるところもあるようですが、それにお金を払うかと言われると私だったら払わないで自分でやります*1。論文中の図表については分野によるかもしれません。私は図表もかなり入っていましたが、そこの英語は校正してほしくなかった(というより分野の中で書き方の慣習のようなものがあり、それを知らない人が見ると全部直されてしまうと予想できていた)ため、図表はすべて削除しキャプションだけ残しました。アップロード後に校正が不要なページを選択することができますが、1ページ全部が図表で埋まっている場合以外は、初めから図表を取り除いておいた方がいいと思います。それからこれは言語学の論文特有の事情になりますが、論文中に入っている例文はすべて削除しました。特に私の場合は日本語の例文を英語のローマ字で書き起こしている部分が大量にあるので、それがいちいち1 wordとして数えられたらたまったもんじゃありません。

こんな感じで依頼前に別のファイルを作り直し、もともと約20,000 wordsだったのが校正用にいろんなものを削除したら約16,000 wordsになりました。

論文ファイルをアップロードする

校正用ファイルが完成したら、ページ上の指示に従ってファイルをアップロードします。初めてScribbrを利用する場合は、無料の会員登録が必要です。校正が不要なページがあればそれを選択します。語数は自動的にカウントされます。ここで、オプションをつけたり、納品までの時期を選択したりします。脚注や後注も校正してもらう場合は、チェックを入れることを忘れずに!デフォルトでは入っていません。この時点で値段が確定し、この数字が以後変わることはありません。ちなみに私は$307.94でした。

論文の分野や情報、注意点を入力する

値段が確定したら校正者に伝えたいことを簡潔に書くページがあります。私は以下の点を書きました。

  • 言語学と心理学を研究している修士学生であること
  • 修士論文のタイトル
  • 修論の内容(一言で)
  • 英語の文法と語彙を見てほしいこと
  • 論文のフォーマット(余白、行間など)は変えないでほしいこと

特に5点目の内容は、日本の大学に提出するものであれば絶対に書くべきでしょう。大学から特に指定を受けていない場合でも、日本であれば通常A4サイズの紙に印刷するはずです。これが海外だとレターサイズが標準になるので、紙のサイズから変えられてしまう可能性があります。学位論文でなくても、雑誌などに投稿する論文であればフォーマットが決まっているはずなので、それを変更しないでほしいということは書く必要があります。また、論文中の時制について、「Scribbrでは基本的にこのような原則で校正しています」という記載があります。これに従わない場合はそれも別に書くところがありますので、きちんと書いておきます。

書くべきことを書いてクレジットカードで決済したら依頼完了です。私は12月11日のお昼ごろに依頼完了したのですが、その日の夕方には校正者が決まっており校正が始まっていました。早い。

校正結果を見直す

18日の早朝、メールとスマホのSMSに校正完了の連絡が来ていました。校正はWordの編集履歴がわかる機能を使ってやってくれていたので、自分の知らないうちに勝手に直されることはありませんでした。私の修論の最初の方の校正結果を実際にお見せします。

 

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丁寧なコメント付きで感動しました。私の校正を担当してくれた人はプロフィールを見る限り言語学や心理学に詳しい人*2ではないのですが、校正の経験は豊富そうでした。校正結果すべてを真面目に受け入れる必要はなく、また断ったところで向こうに通知が行くわけではないので、安心して校正結果を自分の論文に反映できます。たとえば、上のスクリーンショットでいうと3行目の language の前に不定冠詞の a が書き加えられていますが、言語相対論の慣習では無冠詞単数名詞で用いるのでこれは無視しました。また、5行目の" "で囲まれているところはWhorf自身の言葉なので変えちゃダメです。見ている人は校正のプロとはいえ研究内容に関しては素人なので、こういうのは割り切って無視します。とはいえ、なんでもない普通のところでよりアカデミックな英語に直してくれるのはありがたいですし、私の書き方のせいで曖昧になっているところは無言で直さず、 "Meaning unclear. Do you mean ~? If so, I suggest: ... " というふうにコメントで加えてくれたので高評価です。

 

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コメントなしだとこんな感じですね。日本人が英語で苦労するということといえばa/an/theの冠詞だと思っていましたが、私はそうでもないみたいです。語彙のレベルや構文そのものの選定でバッサリ変えられているところが多かったです。こういう自分の弱みを知れるのも英文校正のいいところです。私は1段落ごとにこまめに保存して論文の元ファイルにコピー&ペーストしています。

総評

最初に校正済ファイルを開いてから10時間ほどで全6章あるうちの2.5章分くらいのレビューを終え本論にあたるところはサッと見ただけですが、かなり見栄えが良くなったように感じます。自分で書きながら「あー、なんか日本語が透けて見える英語だなぁ。でもどうやって言えばいいのかわからないから、とりあえずそのまま書いておくか。」と思っていたところがきれいな形になっていて、納得しました。また、本論で専門用語が出てくるところになると、結構慎重にコメントをつけて確認をとってくれていました。1週間で16,000 wordsのつたない英語を読んでここまで校正してくれているなんて、本当にすごいです。私が調べた中で2番目に安い会社でこのクオリティなら他はどうなっているのか、甚だ疑問です。

校正を依頼した後に気付きましたが、Scribbrにいる校正者は必ずしも全員ネイティブではないようです(だから安いのかも?)。実際、私の校正を担当してくださった方も南アフリカ共和国出身でした。非ネイティブでもこれだけ有意義な助言をしてくださるなら私は十分満足です。$300.00という学生にとっては大きな出費ですが、良い投資をしたと思っています。これからレビューを続けて、なんとか年内に製本したいと思っています。

*1:参考文献リストはMendeleyやEndNoteなどの文献管理ソフトを使うとミスがなくて良いです。

*2:英文学で修士号をお持ちの方でした。