人文系の大学院留学

…を目指して断念した人のつぶやき。

卒業/修士論文を執筆する時に気を付けること

もう12月も半ばを過ぎ、いよいよ年末という空気になってきました。この時期、学部4年生や修士2年生は卒業論文修士論文の執筆に追われています。かくいう私も年明けには修論を提出する身ですが、先ほど最後の見直しを終えてあとは印刷と製本をするだけになりました。この記事では、卒論と修論の執筆を経験した私が論文を執筆する時に気を付けていたことや、使っていたテクニックを共有します。本屋や図書館に行けば「卒業論文の書き方」なる本はごまんとあるので、それに載っていないようなものをお伝えします。

 

 

執筆中の注意点

細かくファイルを分ける

私が卒論・修論を書く時に徹底していたことは、細かくファイルを分けることです。そうすることで、何かの拍子に今まで書いていたところが全部消えるという悲劇や、データが重いことが原因の不具合を未然に防ぐことができます。章ごとにファイルを分けて作るほか、図表1つでも1つのファイルを作ってあとから適切な箇所にコピペして挿入する方が安全です。Wordファイルであれば複数のファイルを任意の順番で簡単に合体できますし、ページ番号も途中の数字(17とか23とか)からつけることも可能です。

バックアップを頻繁にとる

これは本当によく言われていることですが、ここでも改めて具体的に書いておきます。というのは、みんな「バックアップとれよ!」とは言うものの「どうやって」とるかをあまり具体的に教えてくれないからです。ここでは、私が修論を書いていた時にやっていたバックアップ法を伝えるので、ぜひ参考にしてください。

私はまず、PC本体に保存した後、すぐにOneDriveに保存します。MicrosoftのOfficeを使っていればOneDriveが勝手についてきて、エクスプローラーにドラッグするだけでファイルのアップロードが可能です。それから、第二のバックアップとしてGoogleドライブも使っています。これは修論執筆中は指導教員や研究室の先輩からコメントをもらう用に共有フォルダとしても使っていたのですが、実質的なバックアップとしての役割も果たしていました。ただし、Googleドライブの場合はWordファイルをそのままアップロードしてもレイアウトが崩れることがあります。特にTabキーを使っているところはほぼ必ず崩れます。それでも中身が消えることはないので、バックアップの手段としては有効だと思います。最後に、USBメモリです。なぜUSBを第一の手段として使わないのかというと、紛失する可能性があるからということと、USBメモリを紛失せずともPCが突然認識しなくなる可能性があるということからです。私はUSBメモリはあくまでOneDrive, Googleドライブが死んだ時用のバックアップとしてしか見ていなかったので、ファイルをUSBにコピーするのは基本的には週1回、提出が近づいてきたら週2-3回くらいにしていました。USBメモリの抜き差しは結構めんどくさいので。

私のバックアップ手段は以上のとおりですが、私の知り合いでは作成したファイルを自分宛にメールで添付して送るという手段を使っている人もいます。自分に合う方法を見つけられればベストです。

私自身、卒論/修論執筆中にデータが飛んだことはありませんが、学部生の時に期末レポート(4,000字)を書いている最中にPCが壊れました。その当時は一切バックアップを取っていなかったため、大金を払ってデータを復旧してもらいました。私のような経験をする人が少しでも減りますように…。

図(写真)はテキストボックス内に貼り付けて位置を固定する

文系の質的研究や理系の実験系の論文だと、論文内に写真を挿入することがあります。本文中に写真を入れるフォーマットの場合、そのまま写真をコピペすると前後の文章が増えたり減ったりした時に変な配置になることがあります。それを防ぐために、まず写真を挿入したい位置に写真がすっぽり収まるサイズのテキストボックスを挿入します。そして、そのテキストボックスの中に写真をコピペしてサイズ等を調整します。デフォルトのテキストボックスだと枠線が黒で入っているので、テキストボックスを選択し>右クリック>上の方の「枠線」>枠線なし でテキストボックスをなかったことにできます。

図表やページの番号は最後に書く

ある程度の文量が書けてくると、図表の順序を入れ替えたり、新しい図表を付け加えたりすることが出てきます。そのような編集作業を行うたびに図表の番号を付け直していては時間がかかるので、これらは全部の中身を書き終わった後にまとめてつけることをおすすめします。執筆する時は暫定的に Figure 5.n や「図n」のように任意の文字を入れておいて、あとからこれらを数字に置き換えるという方法を私は使っています。

ページ番号も、上で書いたように細かくファイルを分けて作っていると1つのファイルのページが1枚増えるだけで、他のファイルのページ数の開始番号が変わってきます。なので、これも一番最後に、もっというなら印刷する直前くらいにやります。この記事を書いている今でも、私はまだ修論にページ数をふっていません。

それから、これは言語学の論文特有の事情にはなりますが、例文番号も上記と同様の理由で最初は全部 (4.n) のようにしておきます。

執筆後に使えるテクニック

執筆が終わったら必ず推敲を繰り返します。そこで言葉遣いや漢字変換の誤り、英語ならスペルミスや時制の間違いを確認するのはもちろんですが、それ以外にもやることはあります。

図表がページの途中で切れていないか確認する

あまりにも大きい図表は除いて、たとえば2×3の表を挿入している場合は複数のページにまたがらないようにします。文章がページの下ギリギリまで続いていて、図表がその下から次のページまで続いてしまっている場合は、表ごと次のページに移します。そうすると文章の下に空白ができますが、これはあっても問題ありません。ポイントは図表を次のページの冒頭から始めるようにする場合、Enterキーを連打しないことです。Wordの「ページ区切り」機能を使います。文章が終わっているところで一度Enterを押して改行したあと、左上の挿入タブ>一番左のページ>ページ区切り を選択すると図表(以降)が次のページの冒頭に飛びます。

表記の揺れがないか確認する

論文内で使う専門用語で、書いているうちに無意識にスタイルが変わっていくことがあります。日本語で論文を書いている場合、英語の用語で2語になっているものをカタカナに直したとき、「・」を挟むのか、「=」を挟むのか、そもそも何も挟まずに続けるのか、などです。たとえば、英語の Sapir-Whorf Hypothesis は「サピア・ウォーフ仮説」、「サピア=ウォーフ仮説」の2通りの書き方があります。これらが書いているうちに途中で変わってしまうことは実はよくあります。また、英語で論文を書いている場合、特定の用語の大文字と小文字の区別にも気を配る必要があります。

こういう時は、WordでCtrl + Fキーのショートカットを使うと便利です。これはWord以外でも文書内の文字列を検索する時にも使えるものですが、論文の時は表記の揺れを確認する時に大活躍します。先ほどの Sapir-Whorf Hypothesis の例でいくと、Ctrl + Fキーを押すと左側にナビゲーションウィンドウが出てくるので、そのボックスの中に「サピア」と入力します。すると「サピア」という文字列を含んだ箇所が一気にリストアップされます。それを目視で確認し、「・」と「=」が混在していないかを確かめることができます。英語で修論を書いた私の場合は、コロン(:)やセミコロン(;)を置いた後に続ける文字が大文字で始まっているところと小文字で始まっているところが混在していたので、それらの記号で検索をかけて一つずつ直していきました。もっとも、コロンで検索すると出典を出す時の記号にも引っかかってしまうのですが(Whorf 1956: 227みたいなやつ)。

英語の場合は、Wordの Consistency Checker というフリーアドインを使うのもおすすめです。左上の挿入タブ>アドイン>アドインを入手>検索欄にConsistency Checkerと入力して一番上に出てきたものを「追加」 することで無料で利用可能になります。このアドインでは、① ハイフンの有無(verbal-interferenceとverbal interference)、② スペルの揺れ(colorとcolour)、③ 数字の表記(twoと2)、④ 略称の表記NASANasa)を検知して混在している場合はそれぞれの個数を教えてくれます。ただし、それぞれ個数を教えてくれるだけなのでどこにその表記があるのかまでは教えてくれません。上に書いたCrtl + Fキーと組み合わせて使うといいと思います。

印刷する前にPDF形式に変換しておく

卒論や修論のような大量印刷をする場合、だいたい研究室のプリンターや外部のプリンターを使うことになるかと思います。その時、印刷用のファイルとして全部PDF化しておくとレイアウトが固定されるのでおすすめです。PDF化した後にすべてのファイルをつなぎ合わせる場合は、PDF 24 tools のようなサイトを使うと楽です。

まとめ

本記事では、修士学生の私がエラそうに論文執筆時の注意点をまとめました。今卒論を書いている最中の学部生、修論執筆中の同士の皆様、最後の最後までやりきりましょう。